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神は言う。
「お前が幸せであればそれでいい」と。
オレは「死にたい」と懇願する。
神は手を差し出した。
オレはその手を取る。祈るように両手で包む。
神はその手をぎゅっと握り、オレの胸に軽く押し付ける。
「それではお前は幸せになれない」
「お前の言葉に従ってもお前は幸せになれない」
「オレはお前を愛している」
「オレはお前を幸せにために、世界を壊す」
「お前が死んでまで愛そうとする世界を」
「お前を不幸にする世界を、壊す」
オレはそんなことして欲しくない。
首を横に振る。やめろと。
神は続ける。
「気付け」
「お前は変われる」
強く握られた手。
確かな意志。確かな言葉。
「オレはお前を誰よりも愛している」
神は、自分自神は、そう言う。

オレは。どうすればいいんだろう。

悲痛な声なんてそんなもの。
ただの言葉でしかなく、何も成せやしない。
ただの遊び道具で。
それ以上の何にもならない。
くだらない。
ばかばかしい。
悲しみ痛みを訴えたところで意味がないのなら。
黙ればいい。
それだけだ。

壊れていく。
嫌いなものが転がり落ちて。
さらし者にされる。
もうどうだっていい。
好きにしてくれ。
やけになって。
どこかへ落ちていく。
それもまたよし。

たまには傍観するのも悪くはない。
でもそこには確かに自分が存在している。
自分が話題として取り上げられている。
おかしな話だ。
『自分』が一人歩きを始めている。
それは自分なのだろうか。
そこには誰かがいるようなのだが、
オレなのかどうかは分からない。
一体何なのだろう。
おかしな現象を、ただ眺める。

大きな波に飲み込まれて。
意識が朦朧として。
何処に自分がいるのか分からなくなって。
どうでもよくなって。
ただ自分の「死にたい」という願望と
向き合うことで気を紛らわせて。
気を抜いたら今度は不安に呑まれて。
ぐちゃぐちゃになっていく。
嫌だな。
ただ死ねばいいのに。
それだけなのに。