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また声が聞こえる。
今度は助けの手を伸ばすのではなく、
乱暴に手を取り引っ張り出そうとしている。
強い訴えのようだ。何か言っている。
が、分からない。
理解しようとしているのに。
何を言っているのか分からない。
オレは望んで壊れていく。望んで死んでいく。
これでいい。
オレはこれでいいんだ。
これの何が悪いのか。どうして悪いのか。
教えてくれよ。
オレには分からない。

オレだけがおかしい。
オレだけが落ちぶれていて。
どうして存在するのか。
疑問は絶えない。
明確な差。
埋まらない差。
どうしたらいい？
わからない。

風が吹き抜ける。
何かが変わろうとしてる。
不安しかない。
正しいと思えない。
なのにどうして選ぶのか。
分からない。
分からない・・・

何かが大きく変わり始めている。
何かが大きくうねり始めている。
自分と言う存在の価値が生まれてしまいそうな。
いや、自分の価値を自覚してしまいそうな。
自制の効かない衝動。
悲鳴にも似た願い。

必死に問う。
どうしてそうしようとしているのか。何故願うのか。
それがどのような影響を及ぼすか。
が、そのすべての問いを呑み込んでいく。
まるで洪水のように暴走する。
暗示をかけられたかのように何も思考が回らない。
ただただ、何かを叫んでいる。
これは世界に対する一方的な愛、だと思う。
世界に呼ばれた気がして、狂い始めた。
また何かが壊れる。それはダメだ。
止めないと。

「愛を」と声をかけられる。
必死に言い訳をする。
が、その言い訳をすり抜けて。
それは自分の心を揺さぶる。
困ったもんだ。
違うと言っているのに。
どうしてこうなってしまうのか。
嫌になる。