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Forget Dreams 〜現想の調べ〜 Aメロ2(中盤)

「お前ザナードのヤツとコンビ組んでどうとか言ってたじゃねぇか!!」
「…あぁ」
「こんなとこでそんなもん持って何してやがる!本気で魔王にでもなるつもりか!?」
「………」
「何とか言えよルシフォア…ッ!!」
怒鳴ると同時にサイコの顔を涙が伝っていった。
この時初めてこいつの涙を見たな、とか。
初めて本名で呼んでくれたな、とか。
魔王と呼ばれてもおかしくない存在になろうとしているのも確かかもしれない、とか。
こんなヤツでも泣くんだな、とか。いろいろ思ったが、
その思考により必死に冷静を保とうとしている自分がいるのも事実だった。
サイコの首元を掴んでいた力が緩み、久しく地に足をついた。
「…ザナードのヤツ。今でも馬鹿みたいな夢忘れてないんだ」
サイコがうつむいたままかすれた声で小さく言い放つ。
「ハーモニカ持って今も全国を募金しながら渡り歩いてるぞ…」
「…そうか」
「そうかじゃねぇだろ…!!」
「…ッ……」
「あいつに比べてお前はどうだ?俺なんかと比にならないぐらいに腐りやがって…」
「……そうだ…な」
「確かに俺だって散々人殴ったし誰の言うことも聞くつもりはなかった…ってか今もねぇ。俺は俺の道を行く。でも何があっても誰かを殺すようなマネはしない。それがどれほど人を悲しませるかは…分かってるつもりだから。お前は…どうなんだ?分かってるんだろ…?なぁ…?」
「…分かってる。でも悲しみに意味も力も…ない」
「…!」
「悲しんだところで何にもならない。なのに何故苦痛や不幸が何かを成すために存在しても誰かが望んで存在してもいけないのか。感情が薄くなった今では前よりもさらに分からなくなった」
「…バカヤロォッ!!!」
バアアァンッ!!
「ッ!!」
殴られて数メートル飛ばされた。
ズザァと音を立てながら止まり、ゆっくり起き上がったものの視界が揺れる。
その場から動かぬままこちらに向かって叫ぶサイコの声が聞こえる。
「お前の母さん、お前が突然いなくなってから必死でお前を探しまわってるんだぞ!?同じクラスだったとはいえ、お前を虐めて何回もセンコーに連れられてお前の家に謝りに行って俺の顔なんか覚えるはずなのに…お前の母さん、お前を見つけたら帰って来るように言えって泣きながら頼んで来たんだぞ!?」
「……それが…?」
「ザナードも旅に出る前に俺にわざわざお前を見つけたら今度こそお前の作った曲とあいつのハーモニカで世界を救うんだって言ってたんだぞ!?」
「………だから…?」
「お前は何も感じないのかよ…!!」
「…感じない。感じたくもない。それが…僕の夢に繋がるなら…」
「お前の夢はなんでそんな真逆へ歪んじまったんだよ!!!世界を救うのがどうなったら無感情の殺人鬼になるになるんだよ!!!」
「…お前に言って何になる……人間に…何が分かる…」
「…?意味分かんねぇこと言ってんじゃねぇぞ…お前も人間だろうが!!」
「人間……人間…?」
何がなんだか自分でも分からなくなってきた。
あれだけ強く決意したのに何かが崩れかかっている…?
ふと気付けばサイコが数歩先まで移動して来ていた。
いつものサイコの喧嘩腰の雰囲気は微塵もなく、
握りしめた拳は震え、顔は弱々しく見えた。
何故か寒気が襲ってきた。
どうすればいいのかわからなくなってとっさに長刀を呼び戻し、サイコに向かって振り落とした。
「グッ…!?」
かすることすらなく、ただ風圧でサイコの服がなびいた。
サイコの視線が逸れ、その隙に元来た道を全力で走り抜けた。
「魔王のくそったれーー…ッ!!」
サイコのこの台詞にはいつも聞く度に苛立ちを覚えてたいたが、
裏路地に響いたサイコの声はどこかむなしく聞こえた。

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