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ブログ日記のようなものPAGE | 2354 2353 2352 2351 2350 2349 2348 2347 2346 2345 2344 | ADMIN | WRITE 2010.04.15 Thu 23:40:51 音答えを出そうと必死に考えた。 分からない分からない。 結局答えなんかでない。 どうしたものか。 いや、元々あった答えを否定するからこうなったんだ。 素直に受け止めればいい。 そう思った。 するとそこへ彼がやってきた。 彼は言う。「それはお前の音じゃないだろう?」と。 それに対していつものように返す。 「そんなことはどうだっていい」と。 すると彼は淋しそうな顔をする。 「オレはまだお前の本来の音を聞いていない。聞きたい」 そんなことを言い出す。正直どうでもいい。 だからいつもの行動に出る。そっと刃を手に取った。 近寄るものは例えどんな存在でも傷付ける。 相手が自分から、こんなヤツから離れたいと思うまで。 殺す気で刃を振りかざした。 でも彼はいとも容易く止めてしまった。 刃を持ったままの手首を強く掴みながら彼は言う。 「それもお前の音じゃない」と。 確かに本心から殺したいわけじゃない。 かといってそれ以外になにも求められない。 もう片方の手で彼の首を絞めた。でも彼は顔色一つ変えない。 「つらいだろう?」と彼は言う。 「どうだっていい」と言い返す。 彼は悲しそうな顔でそっと手を伸ばして来た。 渾身の力で首を締め上げるが、彼は全く気にしていない。 彼は心臓の辺りに手を触れ、ふいに「来いよ」と彼は言う。 意に反して心臓が強く脈打った。 それを感じて彼はフッと笑う。 「聞かせてくれよ」 あぁ。気分は最悪だ。 ため息の延長線のように。 不意に口から音を零してしまった。F#音。 いや、正規のF#より若干低い。F#そのものは耳に痛い。 自分でもよく分からない。でもよく口ずさむ音はこの音。 定番のA(440Hz)ではなくF#(739.99Hz)より干下。 イメージとしては730Hzぐらいかもしれない。 それに対して彼は反抗することなくその音を返して来た。 最初は嫌みっぽく音を分からないであろう程度 上下にずれさせていたが、彼は追うように合わせて来た。 しばらくそんなことをやっているうちに 追いかけっこにも疲れ、当初の音に落ち着く。 音のズレから出てくる不安定な音の波がシンと消える。 何故か涙が伝った。妙に悲しくなった。 段々彼の音が耳にこびりついてくる。 音が音だけに、自分の中にスッと入ってくる。 来るなと言わんがばかりに手を引っ込めた。 が、彼に腕を掴まれ、それが叶わない。 ふと彼の顔を見ると、音を出しながらまたフッと笑っていた。 なんだか気に入らない。音を止めた。 彼も一瞬音を止める。が、また同じ音を出し始める。 反射的に口から同じ音が少し溢れた。 彼の顔が少し歪む。 まだだ。来い。来い。 そんな言葉が聞こえた気がした。 怖い。 そう思った。 PR TrackbacksTRACKBACK URL : CommentsComment Form |