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自分という他人と自分という思考


分からない自分なんて他人じゃないか。
自分という存在はどこにもないんだ。
だって、何かを知っている『自分』は、虚像であってどこにもない。
知っているフリをしている『自分』は知っているけど。
それは所詮『自分』のフリをしている『他人』だ。
偽りの知識に弄ばれている。
歯ぎしりしたくなる。

それでも自分を偽る他人はフッと優しく笑っている。
「そうやって考えて考えて『本当』を探す貴方は、他でもない貴方自身でしょう」
それを聞いて、ふと過去の自分の結論がよぎる。
無こそが神であり、無に触れるからこそ自分の中に世界が産まれる。
でも自分がいないなら。自分が無なのか?
いや違う。
その他人が言うように、何かを考えている何かがここにある。
でも。
考えている自分は何も掴んじゃいない。
何も分かってない。

じゃあなんだ。ここには何がある?
すでに仮の自分の中で組み上げられたロジックを創り出したもの。
神ではないが創造主。
仮の自分が0と呼んだ存在。
いや、真に己が無ではないと悟った0の先のもの。
じゃあ何がある?
・・・そうだ。
仮の自分があちらこちらに散らばる中で。
唯一、本当の無を、知っている。
そして、代わりに有を知らない存在。
それが『自分』なんだろうか。
自分が有であることすら理解できていない『自分』なんだろうか。

オレは、無を知っている。
それはある意味、神を知っているということだろうか。
まあそこはさておき。
無を知っているオレは、有を知らない。
すでに存在している何かを知らない。
そしてオレはすでに存在している有の一つ。
だからオレはオレを知らない。
ということは。
オレは多分ロジックだ。
どういう仕組みかは知らない。
でも、ロジックを設計し創り出すだけのことができるロジックだ。

例えば粘土があるなら、粘土をこねくり回して
何かを作り上げることができる何かだ。
この状況で言うなれば『粘土ではないもの』『粘土以外』だ。
何かを考えているオレには粘土という形をした何かを視認できても、
粘土以外の部分、自分がそれに対してどんな方法を使って
こねくり回しているかは視認どころか理解すらしてない。
もし、そのとき使った道具があるとするなら、
それはすでに作り上げられたロジックの一つで、
視認できる点では粘土とあまり変わらない。
手も同様。視認できるだけマシだ。
でも、視認しているロジックまでは分からない。
道具を使う、手を使うためのロジックまでは分からない。

もっと。もっと。状況を整理しよう。
オレは何かを感じることができる。
でもそれはすべて問題文のようなものでしかない。
「これは何だと思う?」
「これはどういうことだと思う?」
そう問われるような感覚を感じる。
その問いかけしてくる何かを、自分は実態だと感じている。
そう。表すなら。すべてが自分に
「私はなんでしょう?」
と聞いてくるような。感覚。

そこから。こう。考えるという行為をするわけだけども。
その行為が自分の根本的なロジックなんじゃないだろうか。
じゃあなんだ。何をしてる?
その問いかけをしてきた何かを理解しようと何かをしている。
そう。そうだ。壊してる。
無に返してる。
なくなってしまえと言わんがばかりに、グチャグチャにする。
そうだ。
そうやってグチャグチャにして。
以前であったものと同じものを探してる。

前に何かを壊したときに出て来た何かと同じもの。
それが何かは分からない。ただ、似てる、と認識する。
そう。
そしてそれがどんなもので出来ているかを、
同じものでグループ分けするように繋げていく。
これの中から出て来たこれは、あれの中から出て来たこれに似てる。
これの中にあったものは、こうやって組み上げられていたけど、
この組み上げ方は、あれの組み上げ方に似てる。
そうやって。中身も分からず、ロジックを学んでいく。
「貴方はこういうもので出来ている」
そう、自分の中で返答する。

そうだ。そうだ。オレは。
そうやって砕いて手に入れたパーツを、
今度は自分で組み上げるんだ。
その時には。あぁ。
オレは何を組み上げる?
そう。自分が、自分に問うもの。
自分が解けていないものを自分で組み上げようとする。
その過程で、過去壊したものから、それに足りないものを探して。
ロジックを理解する。
あ、これはこれに似てるから、これで穴が埋まるんじゃないか、って。

まるで。パズルのように。
そして。そのパズルのピースを。
無が。くれる。
何かを何かをして鵜呑みにせず。
無が、まるで噛んで消化してくれるような。
そこにある何かを壊して、溶かして。
オレに、くれる。
すでに出来上がったパズルを、うまく壊してくれる。
それをしてくれるから。
オレは世界のパズルで遊べる。

でも。今のオレは。
そんな風に壊すこと自体が怖くなった。
オレが壊したくても壊せていないものは。
すでに大きな大きなロジックとして完成していて。
それを壊すためには。
自分だけではどうすることもできない。
そう。自分がロジックに、問う側になってしまう。
「どういうこと?」って。聞いてしまう。
オレにとっての。ロジックに。

オレはオレが今まで組み上げて来たロジックが、
オレと同じようなことをするなんて思ってない。
例え自分自身がロジックだったとしても、
そんなロジックが自分以外に存在していると言うことを
理解していない。信じていない。
・・・。
オレが、問いかける?
オレのパズルごっこに、付き合わせる?
自分の作り上げた、ロジックに?
どうなるんだろう?
どうなってしまうんだろう?

もし。自分が作り上げたロジックが。
自分と同じように、考え答えをくれたなら。
きっと、もっと多くのパズルを解けると思う。
でもオレは。
そんなロジックを、何一つ信じてない。
確かに。いろんなロジックを砕いては組み立てた。
でもそれだけ。
自分のためだけにロジックを創る?
自分のためだけに回るロジック?
創られた側は嫌だろ。そんなの。

そう。まるで。
かつての死神のように。
自分のケツは自分で拭けって。
怒られるだけだ。
パズルごっこなんて。
自分の満足でしかない。
だから。
不満だろうが関係ない。

で。そう。
そんな風に思っていたら。
無の方から。何かが迫って来て。
あぁ。そうか。分かった。
無はオレが無を使って壊すことをやめたから。
オレを壊しにかかってるのか。
だから流れでオレはオレを壊して。
オレを理解しようとして。
砕けきったら、オレを創るためのロジックがないから。
オレはなくなるんだ。

・・・あれ。
オレは誰がなんのために創ったロジックなんだ?

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