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ブログ日記のようなものPAGE | 932 729 933 728 727 934 726 725 724 935 723 | ADMIN | WRITE 2009.02.15 Sun 18:49:00 Forget Dreams 〜現想の調べ〜 サビ2(前半)「………」
ガサッと音を立てながら寝ていたベッドゆっくりと体を起こした。 昨日のこともあり、やはり疲れが抜けきっていない。 体のだるさに耐え、ベッドを降りて立つと今度は軽くめまいが襲った。 そんなにも動揺していたのだろうか。 …いや確実にしていた。 腕に残っている昨日作ったばかりの手首についたナイフのかすり傷を見ながら思い返した。 が、起きたての思考が鈍く働くも、すべてすぐに追いやった。 今すべきことをしなければ。 時間はもう僅か。 部屋を出て階段をゆっくりと降りる。 朝の廊下は冷静さを更に濃くしてくれた。 「……」 「…あぁ。起きたか」 ドアを開ければそこにはいつも通り窓の方へ向けたイスに座って朝日を眺める人影があった。 人影はこちらに気付き、軽く振り向いて声をかけてくる。 目線だけ交わして反対側のイスに座った。 机の上にはまたいつも通り既に焼いたパンが置いてあった。 微かに当たり前になってしまったこの生活にどこか疑問を感じた。 今はとやかく言える立場にいないと分かっているのですぐにかき消したが。 代わりに違う疑問が脳裏に浮かぶ。 「…レイは?」 「あの後問い正すつもりだったが逃げられた」 そういいながらディムはイスを窓から机の方に向け直し座る。 「どう見る?」 「何か隠してるのは確かだな。相当俺達と関係あることを」 「どうして最初に会ったあの時には分からなかった?」 「……」 「……」 思い返しているのか机に肘をつき組んだ手の上に顎を載せて視線を下げた。 「結局俺の能力で最深部まで見抜けなかった人間はあいつだけだな」 「なら…」 「あぁ。あいつが人間でない可能性が高い。まあ前から分かっていたことだかな」 「……」 バンッ!! 「!?」 突然大きな音と共にドアが開く。 誰が来たのか確認する前にそれはディムに飛びついた。 「おっはよ〜諸君!!今日もテンション低そうだねぇ〜!!あ、フォアちゃん。もう大丈夫なん?」 …結局姿で確認するまでもなく声と行動で誰か分かった。 ディムはといえば、握った拳を震わせている。 「…離れろ」 「いやん♪ディムの照れ屋さん」 「ふざけるな!」 自分に引っ付いていたレイの首元を掴み上げ立ち上がるディム。 勢いで机の上の食器が音を立てた。 「ぐぅ…苦しいッス。降ろしてちょ…」 「いい加減にしろ!」 「…何を?」 「チィッ!!」 投げ飛ばす。レイは壁に派手にぶつかりその場に座り込んだ。 「ッー…げほげほッ…うえぇ〜…」 「お前何が目的だ?」 「何って…案内?」 「……は??」 レイの一言にディムがキョトンとする。 ほぼ同時にドアの方から人が入って来る気配。 「さっきから黙ってりゃあレディに暴力とは何事よ?」 現れたのはレイより少し背の高いハーフパンツ姿の見慣れた少年。 「なっ…!?」 驚きのあまりディムは一歩引いた。 「…神?」 「よぉフォア。お前早く朝飯食えよ?ただでさえ冷めかけのパンがより冷めちまうぜ?」 「そうそう!あ〜もうびっくりした。暴力反対ッ!」 のそのそと立ち上がったレイはこっちへやってきた。 「フォアちゃんパン半分ちょ〜だい!オレんちに不法侵入した餓鬼に絡まれて朝飯食いそびれちゃった!」 「おいこら不法侵入とは人聞きの悪い。ちゃんとチャイム鳴らしただろ?大体お前も餓鬼のクセに」 そう言い放ちつつ、神はディムの方へ歩み寄った。 「鍵かかってたのにオレが出る前に神力使って入ったら十分不法侵入じゃい!!」 「あ、そうか」 「そうか。じゃぬぇ〜…で、フォアちゃん。食べていい?」 「…かまわない」 「さんきゅっ!」 何故かわざわざ膝の上に乗り、パンを2つにちぎり出すレイ。 ディムはと言えば近寄って来た神を睨みつけていた。 「…何しに来た?」 「何って、可愛い分身が心配で見に来ただけだぜ?」 「冗談はよせ」 「冗談じゃねぇし?ちっとは信用しろよな」 ニッと笑う神。が、反面重苦しい雰囲気も感じる。 「大体は分かってるだろ?」 「………」 沈黙のままディムはイスに座り込みうつむいた。 「…この体、あとどの位保つ?」 うつむいたまま静かに問う。何の話だろうか…? 「長くて…5年だな。ただお前の行動次第で変わってくるが」 神が真顔で返答する。 …おかしい。話が合わない。 「神」 「ん?何?」 「ディムは不死身じゃないのか?」 「あぁ不死身だぜ?」 「…?」 こちらの反応にクスクス笑う神。 先ほどの言葉の意味を教える気はないらしい。 「なんか嫌ぁ〜このビミョーな空気」 レイがパンにかぶりつきながら言う。 するとディムが思い出したかのように顔を上げ、神を見た。 「…お前、なんでここに直接来なかった?」 確かに。わざわざレイを連れてきた意味が見いだせない。 「んだよ。男ばっかりより華がある方がいいじゃねぇか」 「はあ〜いこれでも一応華でぇ〜す!」 ニヤリと笑う神と、パンを頬張りながらでも相変わらず騒ぐレイ。 「……」 本当にそんな理由なのだろうか。疑問に思いながら半分残っているパンを手に取る。 「おっとごめん邪魔っすね」 「あ、あぁ…」 軽々しく膝から降りて横に立つレイ。 改めてよく見ればパンをちぎり丸めて手の上で転がし遊んでいた。やはり『餓鬼』…なのか? レイが退いたため、一度イスに座り直してパンを食べた。 「で、今日は?」 突然レイがディムに話を振る。 「…」 「無視しないでよぉぉぉ〜ボクちゃん悲すぃ〜い」 「うるさい」 ディムが苛立ちが伝わる様にわざと音を立てて席を立つ。 「これ、もういいか?」 「…あぁ。かまわない」 そのままディムは使い終わった食器を重ね、流し台の方へ。姿が見えなくなり、水の音だけが聞こえてくる。 「フォアちゃんはどうなのよ?」 無視されたレイが今度はこちらに話を振る。 「………」 「?」 すぐには反応出来なかった。レイが不思議そうにこちらを見ている。 今日すべきことを考えようとすれば、昨日の出来事が脳裏をよぎる。 そう。あくまで『すべきこと』を決めたのは自分自身。 他人にとってそれは全く必要としない、むしろ犯してはならない罪。誰かに理解してもらうこと自体が不可能。 でもそうだとして、自分が正しいということを証明するのは誰だ? 「少なくともオレは証明したつもりなんだけど?」 気付けばディムが座っていたイスに神が座り、こっちを見ている。 「…はぁ?」 神の言葉の意味を理解していないレイ。人の考えがすべて見通せる神相手では当然なのだが。 「本当の意味での正しさなんてどこにも存在しねぇよ。もしあるとしても、それは自分にしか通用しない自分だけの正しさだけだ」 「あれほど…強く否定されても尚、自分が正しいと考えることが出来ない」 そう言って手元をみれば、持っていたパンが歪んでいる。知らないうちに力んでいたらしい。 「おいおい。サイコにとっての正しさとお前の正しさは違うだろ?」 「…なら何故証明した?」 「お前が心底正しいと思っていたから」 「それは…今の僕では証明できないということか?」 「んん〜?じゃあ今のお前は自分を正しくないと思ってるってことでいいんだな?」 「……」 何の答えも得られそうにない。返されているのは自分の状況を再認識させるようなことばかりだ。 暗に自分でしか解決出来ない、とでも言っているのかもしれない。 「正解♪」 こちらを指差しながらにっこり笑う神。 言葉にしてもいないことに対して受け答えされると妙な気分になる。 「…あのさ。電波系やめてくんない?」 「電波言うな」 神がレイの一言に素早く突っ込む。真面目なのか不真面目なのかよく分からない……? ふと初めて会ってからこれまでに交わした神との会話を思い出す。おかしい。 「神。前に言っていただろう?次に会いに来るときは…」 「違う違う。今回はマジで可愛い分身が心配で見に来ただけだって」 ガチャン!! 流し台の方から食器の割れる大きな音。 「あ〜あ来ちゃったよ…タイミングよ過ぎ」 「!?」 「ディム君!?」 レイが慌てて流し台の方へ走っていった。 PR TrackbacksTRACKBACK URL : CommentsComment Form |