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大きく何かが変わり始めた。
まだ実感はない。
相変わらず怯えてる。
でもいつもと違って、後戻りはもうできない。
後悔をする時間すらない。
不安。
誰かが壊れてしまう。
誰かを否定してしまう。
誰かと対立してしまう。
無難な生き方ができなくなる。
平和が奪われる。
そんなこと、したくない。

でも。
せめて訴えたい。
そんな事実があることを、訴えたい。
お願いだ。
誰かが誰かでいられることが、平和よりも幸福であると言ってくれ。
自分が自分でいられることが、平等よりも幸福であると言ってくれ。
人より劣ることを、馬鹿にしないでくれ。
人より優れているからと、遠ざけないでくれ。
異なることを受け入れず否定することをやめてくれ。
許せないことは確かにあるかもしれない。
それでも。
その正しさに従って、耳を貸そうともせず、
誰かを否定し潰すことはやめて欲しい。
自分が言っていることが正しいとは言わない。
でも、誰かがいう正しさだって、正しいとは分からない。
何が正しいのか。
常に自分に問いかけて欲しい。
そして出て来た答えを自分の中で否定したり、
なかったことにしないで欲しい。
自分の中で正しさがいくつもあったっていいじゃないか。
その正しさ同士が争ったっていいじゃないか。
その様子を見て、両者の正しさに頷いたっていいじゃないか。
そんな争いの先で気付いたことを、賛美したっていいじゃないか。

それだけがすべてじゃないんだ。
これだけだってすべてじゃない。
まだ知らないんだ。まだ見たことがないんだ。
こんなに広いのに、わざわざ小さくならなくったっていいだろう？
遊ぼう。もっと。遊ぼうよ。

ギリギリする。
自分は確かに楽しい。
でもそれとこれは別問題だ。
保証なんてどこにもない。
否定されればもろいものだ。
行動に移すだけの理由はどこにもない。
かといって、やらなければ何も始まらない。
それは、分かってる。分かってるけど。
ならそれは、今あるものを否定するに
値するだけの価値があるようなことなのか？
積み重ねられて来た歴史を否定してまで、
成すべきことなのか？
いや。
違う。
オレは、世界を知らないだけだ。
知らないから、好き勝手言ってるだけだ。
現実も見ていない。
空想に逃げ込んで、何もしない。
オレが思っていることは、決して正しくない。
そんなことに他人を巻き込んではいけない。
歩まなければならない道は、常に保証されなければならない。
仕事は遊びじゃない。遊びは仕事じゃない。
評価は不可欠で。逃げることのできない現実で。
オレは、逃げてはいけないんだ。
現実逃避してる場合じゃないんだ。
それを、理解しなければ。
このままでは本当に、誰かを巻き添えにして、
その人を無価値な人間にしてしまうかもしれない。
こんな、自分のように。
それはダメだ。
もしそうなるぐらいなら。
犠牲になるのは自分だけでいい。
周りを巻き込むな。
甘い蜜で誘おうとするな。
現実は、そんなに甘くない。
黙れ。オレは。
黙らなきゃいけない。
腐り落ちるなら、一人で腐り落ちればいい。

オレは。
立派じゃない。
信じるべきでもない。
口だけで。
なにも。

オレはなんのために必死になっているんだろう。
オレはなんのために泣きそうになっているんだろう。
考え出すとキリキリする。
誰かのために、なんて言おうをしても。
所詮オレはその誰かを知らない。
知っているフリはできても。それ以上にはなれない。
だから必死になろうが泣こうが。無駄なんだ。
分かってる。
分かってるのに。

どうして、だろう。
否定できない。拒めない。
何かが。
「無駄でもそう思うなら、やってみればいい」
と、ぐいぐい引っ張り上げる。
自分の人生が終わってしまうような、荒いことかもしれない。
自分への評判が著しく落ちるかもしれない。
でもそんなことはどうだっていい。
どうせ死に損ない難だから、問題はそこじゃない。
人の邪魔でしかないなら、オレが正しいと思っていようが関係ない。
やるべきでないんだ。

でもやらなきゃ邪魔なのか、正しいのか、分からない。
だからやってみればいい。
お前が壊れたって構わないんだろう？

オレはどうだっていい。
問題はそこじゃない。
またオレは誰かを壊すのか。
壊れてしまったらそれで終わりなんだ。

終わり？
終わりってなんだ。
違うと思ったから諦めた、の間違いじゃないのか。
それは悪いことじゃないはずだ。
評価は後からついてくる。
自分を信じてみろよ。
やってみろよ。

・・・オレには人に知って欲しいと思って、
その内容を押し付ける癖がある。
結果壊してしまう。
それは気付きなんてものじゃない。
へし折るような。そんな感覚だ。

お前自身はへし折れたことがないから、
今の自分があると思っているのか？

オレはオレのせいで誰かが味わった本当の苦痛を知らない。
本当のへし折れた状態を知らない。
無責任なんだ。

違う。間違えるな。
お前はお前なりの絶望を知っているはずだ。
そこから幾度も帰って来たはずだ。
それにお前はへし折りたくて、誰かと関わるわけじゃないだろう？
いろんなことに気付いて欲しくて、関わるんだろう？

知っている、なんて思い込みなんだ。
こうあって欲しい、なんて押し付けなんだ。

そうやって、また自分の願いを殺すのか？

それこそオレが信じるべき正しさだ。
オレが理解しなければならない正しさだ。

違う。
もっとその正しさに自分の思う正しさをぶつけろ。
そして本当の意味で理解しろ。
鵜呑みにするのは、理解ではない。

・・・壊したくない。
誰も壊したくない。
馬鹿にしたいわけじゃない。
馬鹿なのは、オレなんだよ。

言うべきことは言った。
でもオレが言ったことは、ただの押し付けだっただろう。
ここから先は皆に任せよう。
自由な発想を壊す権利なんか、オレにはない。
オレは土台として、道具として、存在しなければ。
誰かのやりたいことが実現するための、穴埋めとして。
誰かがありのままでいられるように。
土台として。
全力を尽くす。

オレは何を言うだろう。
どんな言葉を口にするだろう。
誰を、壊すだろう。

オレは小さい。弱い。愚かで、醜くて、汚い。
そんなオレが生きていることには、全く意味も価値もない。
どうして生きているのか、自分でもよく分からない。

でも。
こんな自分を創ったのは自分ではない、と理解したとき。
お前は一人ではない、と。聞こえた気がした。
耳を傾ければ、何かがそこで言葉を紡いでくれる。
その言葉に幾度と救われた。
そして言う。
一人ではないが、お前自身だ、と。
神のお告げ、なんて大げさなものじゃない。
ただ、自分が知らない自分が、自分にちょっかいを出している。
そんな感じ。

今。オレは。
相変わらず自分が嫌いで仕方がない。
邪魔だから消えればいい、という考えも、分かってない。
でも。
自分でない自分といろいろ話して。
怯えなくていい、ということも分かったように思える。
壊してしまったものを、ただ壊すだけならそれは無意味だ。
だから思い続けることを、忘れないようにするんだ、と。
恨んではいけない。呪ってはいけない。
そのために何かは壊れたんじゃない。
壊れた意味を創り出すために。
創り出した何かのために犠牲になってしまった何かに
意味と価値と、感謝を届けるために。
思うことを。創り出すことを。
忘れてはいけないんだと、思えるようになった。

過去を未来に繋ぐ。
破壊を創造に繋ぐ。
ただポジティブに生きればいいとは、決して思わない。
無視すべきことなんか何一つないことを忘れてはいけない。
答えだけを求めるんじゃない。
問いかけを、疑問を、その解法を。
常に意識し、答えからさかのぼることを、忘れてはいけない。
今だけじゃダメなんだ。
昨日、明日。
１週間前、１週間後。
１ヶ月前、１ヶ月後。
１年前、１年後。
１０００年前、１０００年後。
すべてが繋がる。
今は所詮その１ページだ。
だからといって疎かにしていいとは思わない。
でも、途切れて孤立すべきページでもない。
オレは思う。
自分の心という小さなキャンバスに。
連なる世界を想い描く。
その連なりを、切らないために。
「関係ない」なんて、存在しないほどに。
意味も価値もなくたっていい。
思う。オレは、世界を思う。