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微かな気配の中。
自分を見失いかけて。
何がしたかったのか。
馬鹿げてる。

声が聞こえる。
優しい声。
それでいて腹立たしい声。
オレはただ死にたいだけなのに。

意識が呑まれる。
誰かが告げる。
幸せとは、理想とは、と。
ふざけてる。

どうしてかな。
オレはどうしてこうも馬鹿なんだろうな。
嫌になる。
あぁ。

ねぇ。
どうして？
どうしてオレなの？
オレじゃないでしょう？
ねぇ。
お願いだから。
違うって言ってよ。
つらい。
つらいよ。

強い日差しが差し込んで。
自分の影すら包み込んで。
蔑むオレを抱きとめて。
幸せであることに違和感ばかり募って。
そこに痛みを感じる。

最近。
ふと、自分と０が被るときがある。
自分の姿。自分の言動。
自重しない、それでいて最善を尽くそうとする。
自分にとっての『最悪』が、自分に被る。
怖い。
あってはならない。
怯えてる。
でも、そんなオレを０は受け入れている。
それこそがお前の『理想』だったじゃないか、と。
優しく笑う。
それが、つらい。

０自身も十分知ってるはずだ。
自分が決して正しくないということを。
存在を許されている、なんてのは幻想であることを。
それなのに。
それなのに・・・

どうしてだろうな。
オレはこんなにも馬鹿なのに。
どうしてだろうな。
苦しくてしかたないのに。
オレこんなにも幸せでいいんだろうか。
もっともっとドス黒いものにまみれて。
死んでいくべきだと思うのに。
どうしてかな。
まぶしくてしかたない。

どうしてかな。
オレは。
こんなに馬鹿なんだろう。
やだなぁ。
それなのに。
どうしてこんなに平和なんだろう。
やだなぁ。
もっともっと。
大きな大きな。
愚かさで。
壊れてしまえばいいのに。