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まるで漂うように。
ふわふわとした流れの中。
心だけが。
どこかを目指し進んでいる。
考える前に進んでいく。
意識すると。
心が何かに包まれていくのを感じる。
「そばにいるよ」と。
訴えられているような気さえする。
やさしく。それでいて力強く。
「愛してるよ」と。
「ありのままでいておくれ」と。
そう言われている気がする。
オレは。
そんなこと望みたくない。
オレはオレでいたくない。
否定して欲しい。
なのに。
その気持ちすら愛されてしまう。
溶かされてしまう。
お願いだ。
やめてくれ。
こんなこと認められたくない。
嫌だ。

「こっちだ」という言葉とともに。
クンッと強く腕を引かれた。
急だった。
オレが思い描いていた仮定を軽く裏切るように。
何かがオレの腕を引く。
途端、ハッとした。
オレがもやの中へ突っ込んでいこうとしていたのを、
誰かが引きとめたようだ。
そしてその誰かは。
オレがもやの中に思い描いていたものを的確に把握し、
それが実在する方へ導いてくれている・・・ようだ。

オレはどうして何かを思い描いてしまうのだろう。
必要ないのに。
そう感じていた。今も感じている。
なのに。
その誰かはオレが思い描いているものを欲しているような。
そんな気がして。
苦しい。

決してオレを甘やかそうとしているわけじゃない。
かといってオレの機能を欲しているわけでもない。
オレという一人の存在を。
欲されているような。
そんな気がして。
心苦しい。
オレは欲されるような存在だろうか。
・・・きっと違う。
そう思えて。
泣きたくなる。

ふと。
ふわりと落ちていく。
そこに誰かがいる。
やさしく微笑む。
オレはまだ受け入れられない。
自分の幸せも。生すらも。

何故オレは拒むのか。
違う。そこじゃない。
何故ここに誰かがいるのか。
オレに何を求めているのか。
そこだ。オレが気になるのは。
誰かが言う。
「求めているのは貴方の方だ」
と。
否定は、できない。

だったら。
オレは何故求めてしまうのか。
自分に問いかける。
そこにあるのは、ただただ漠然とした願い。
他を思う自分。
他を吸収し、自分の中にできたものとの差を埋めたくなる。
そんな衝動。

オレが思い描く世界。
それは本当の世界じゃない。
だからいらない。今の世界を壊す原因でしかない。
邪魔だ。
そう思い続けてきた。
でももし。世界が。
オレの世界を欲しているのなら。
オレはどうするべきだ？

世界を変えるだけの力。
自分の中で消化しきてれいない世界。
押し付けてしまう。そのことへの恐れ。
オレは無知だ。
なのに。

何故。

人を励ます。
自分の本音を言ってみる。
本当に思うことを口に出してみる。
通じる部分がわずかなりともある。
オレは。
誰かに何かをすることができる。
でも。
正しいのだろうか。
これでいいのだろうか。
わからない。
怖い。

人が。
寄ってくる。
人が。
話しかけてくる。
ためらいを感じさせず。
ただただ。
話しかけてくる。
何故だろう。
オレに何を見たんだろう。
怖い。
オレは。
そんなに。
単純じゃ、ない。
保証できない。
ごめん。
ごめんなさい。