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可能性という生と絶対という死


人は何故生きるのか。
人は何を目指すのか。
楽しい。嬉しい。幸せだ。心から喜べる。
それは生きていることに価値を感じ、
生きていたいと願える理由になれるものかもしれない。

でも、評価はどうだろう?
クラスで一番になった。
学校で一番になった。
世界で一番になった。
認められた。褒められた。欲しいと言ってもらえた。
資格を得た。合格した。歴史に残った。
それ自体は価値か?
きっと違う。
それを「嬉しい」と思うから、価値なんだ。

人のマネをして評価されたらそれで満足なのか。
無難な方法で評価されたらそれで満足なのか。
ただ一番になれれば、それで満足なのか。
自分が自分でいられない世界を、そんなに目指していたいのか。
評価に振り回されて、だただた苦しいのに。
それでも評価されたがるのか。
評価されないことが、無価値なのか。
自分の思いを殺してまで生きて、その人生に価値があるのか。
なぁ。
なぁ・・・

オレは思うんだ。
オレが評価されるためには、オレはオレでいてはいけない。
オレの考えの中に、評価を得るための答えはない。
より多くの人に意見を聞いて統計を取るだろう。
より多くの資料を集め、そのデータを整理するだろう。
ここで100点を取るためにしなければならないことを導き出す。
ここで認められるためにしなければならないことを導き出す。
そしてそのすべてを実行し、失敗を繰り返しながらも、
いつか評価を得ることはできるかもしれない。

でも。
そうやってできあがったものは。
きっと当初、自分が思い描いていたものじゃない。
自分の手を大きく離れた、
為体の知れないものができあがっていくんだ。
愛情の注げない、ただの理論の塊。
創り出した自分自身すら受け付けない、遠い遠い存在。
万人に評価されるためだけにできあがった、何か。
最早それは当たり前になりうる定義。

まるで、1+1のような。
本当に誰しもが求め、認める仕組みかもしれない。
絶対的存在。感情なんてあるはずもない。
そう。その先には何もない。
それ以上もそれ以下もない。
きっとそれは、死んだ世界。
生きる世界で生きられない何か。
生きることができたはずの、何か。

1+1。
人によって生まれた何か。
でも本当は自由だったはずだ。
1が1でなく、+は+でなかったはずだ。
この文章そのものが1+1となり得ることだってあったはずだ。
その可能性を奪うことが、価値なのか?
・・・いや。
違う。
本当に評価されるものは。
元素にも似た、基礎なんだ。きっと。

時間が何故存在するのか。
そこにある基礎が応用へと変化していく。
その瞬間に変化が生まれ、それが時間となる。
応用は時に消滅し、また新たな応用が生まれ落ちる。
基礎がなければ応用は存在しないかもしれない。
でも応用がなければ、そこに変化は生まれない。
「絶対」とは死んだ世界だ。
「絶対を目指す」とは、死ぬことじゃないのか?
それこそが自殺行為じゃないのか?

きっと「絶対」は、自問自答ではやってこない。
自分の中に証拠がないから。だから外に求める。
その果てで答えを導こうとする。
でも「絶対」とは「保証」だ。
信用できる何かであり、無視して何かを
したところでその「絶対」は揺るがない。
生きることに怯えた先に求めるもの、じゃないか?
そう思えてしまう。

1+1を知らなくたって、生きられる。
評価を得られなくたって、生きられる。
幸せになれる。
だからそれは、生きる仕組みにはなれても、生きる理由にはならない。
世界はなんのために自分を創り出したのか。
仕組みを知って欲しかったのか?
きっと違う。
仕組みを使って、何かをして欲しかったんだ。
プログラマがライブラリやフレームワークを創るように。
その先で、新しい何かをして欲しいと願っている。
そう思えるんだ。

・・・?
人が「絶対」に触れるとき。
それは神になれることを指すのかもしれない。
でもきっとそれは今の神が理想とすることなのだろうか?

可能性の果てに。
神は己の存在すら。
否定しようと言うのだろうか?
分からない。
そもそも神なんているのかすら分かっていないのに。
なんだろう。
疑問を指で押さえられている気がする。
払いのけられない。
グッと。考えに耽る。

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