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生きることへの輝きを思う


・・・あぁ。
小さな箱庭から漏れる。広がっていく。
止めどなく、零れるように。
自分という波紋が広がって。
誰かという鏡に映り込む。
たくさんの人によって万華鏡を成していく。
うん。綺麗だよ。
愛してる。
でも、そこに映るべきだったのは、本当にオレだっただろうか?
怖くて怖くてたまらない。

オレは。確かに。愛した。
今という時間を生きている魚。不気味に潜む魚。
花を構成する花びら一枚一枚。
儚く沈む葉、陽気に弾む葉。
緩やかな水の流れ。弄ぶ渦の流れ。
雲は行き交う。時折走る閃光、雷。
月と太陽は浮かんでは沈んでいく。
そこに刻まれる、足跡という名の、波紋。
でも、すべては所詮プログラムだ。
『生』を知らない、プログラムだ。
だから。
『生』を表現するために。
アニメーションを担当するプログラマとして。
オレにできることを尽くした、と思う。

でも。
この世界の素案を出したのは別の人だ。
オレの自分勝手な解釈によって産まれた物が多々ある。
その世界の重要部分の大半を任されたオレは、
本当に他人から求められたをできただろうか?
いわば、これは仕事だ。
個人的思想を持ち込むべきではなかった。
指示されて動くだけの、道具として動くべきだったのに。
オレは、企画という水面に、派手に波紋を立ててしまった。
誰が波紋を重ねて余韻を残せと言った?
誰が魚のアニメーションを、速さが曲がる角度で変化させろと言った?
誰が水に浮かぶ花や草を、ゆっくり波形を描きながら流せと言った?
自分勝手な行為を、どれだけ重ねただろう?
どうして誰もそれを責めてくれないのだろう?

人が楽しそうに笑う。嬉しそうに眺める。
思い出して語る。多くの人が語る。
それこそ、自分が立てた波紋を、語る。
そういう状況なんだ、と実感してしまう度、泣きそうになる。
「それは『正しさ』じゃない。オレが犯した『間違い』なんだ」と。
何より、その『間違い』には大きな裏がある。
『自然』という概念を『生』として持っていない制作者。
『生』を邪見に扱う人々の姿。自分がやっていることに実感もなく喜ぶ姿。
きっと貴方は知らないんだ。『生』に触れられる幸せと感謝を。
幼い頃、オレが奪って酷く悲しんだ『生』が、目の前で弄ばれていく。
そしてどう足掻いても、『本当の生』には成り代われない。
そこにある『嫌み』を。
知らないんだ。

オレはきっと、社会に求められるべき人材じゃない。
自分の行為が僅かでも人の幸せを招いた、という事実があっても。
どこか悲しいばかりのオレは。
人間としておかしいのだから。

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