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世界遊泳



昨日の続き。
画像は某作品のスクショ。
こうなってしまえば、ただの画像だ。
その画像が綺麗なのは『絵が綺麗』ということだとオレは思う。
オレは綺麗さを殺さないプログラミングができただろうか。
絵を描いた本人が満足してくれても、どこか不安だ。


「White Dots Room」
足下がふらつくほどに現実離れした部屋。
とはいうものの、実現方法は大したことはなく、非常に現実的だ。
網を二重に重ねてライトで照らしたものを鏡に反射させているだけ。
でも、これは日常の中の発見に近い気がする。
まるで網戸が重なり合ってできた模様にハッとさせられるような感覚。
模様としては、目を擦った時に見えるよく分からない図形の集まりのよう。
そしてどこか、拡大して見た病原菌のように、うようよしている。
白い点の部屋?どうして白なんだろう。どうして黒には触れないんだろう。
驚きはある。でもその後、美しさを感じず、怖さを感じるのは何故だろう。
謎が多い。宇宙か?

「LIKE NATURE」
考え方としては、非常に数学的な気がする作品。
回転体の面積を求めるために積分しているようなイメージを思い出す。
でも元を辿れば、そこには立体はない。あるのは細い光る線だけ。
人間の目が悪いとも言える、錯覚の一種、なのだろうか。
でもこれは現実として存在しているものだからこそ。
うまく回転できずにグラグラ、カタカタと回るものもあれば、
止まってしまっているものもあった。
こうなってしまったものは、一体なんだろうな。
死んだのか?それとも我に返ったのか?

「波光 Light Waves」
これは非常にアート的な『?』がある作品だった。
見える波は純粋に綺麗で。そこにあるものがペットボトルであることに驚いて。
でもそこから、キラキラと輝き出すと、もうわけが分からない。
これは何だ?と思わざる負えない。
でも後になって思えば、川や海に捨てられて、
どこかに流れ着くことのあるペットボトルで、
皮肉にも波を表現しているんだな、と思うと。
モヤモヤがちょっと落ち着く。ゴミもやり方次第で美しいってか。

「megumi-セイメイノキラメキ」
外観と内部で全くことなった世界。
徐々に狭くなっていく通路に大して、奥に広がる光景は鏡に映る無限と来た。
奥に至るまでの経路は茶室をモチーフにしているとか。
確かに低い位置に置かれたやんわり黄色のライティングなんかは、和風っぽい。
で、小さな引き戸を抜けると、白の部屋から一変して、黒の世界が広がる。
蒼く光りながら止まりかけのコマのように回る光と止まってしまっている光。
宇宙というより、光の届かない深海で海ほたるをみているような気分になる。
手を伸ばしたくなるが、それはできない。
まるで格子のように黒い枠が描かれた透明な板に阻まれる。
でも、儚く散る生命の光を守るためなら壁も必要なのかもしれない。

「A WALK IN THE CLOWDS」
雲を光る線で再現した、インパクトで言うなれば、それこそ雲のような作品。
よく見れば、その雲は形が細かく異なっていて、
わざとなのか、光の加減もいろいろだった。
雲にはたくさんの種類があるのは知ってる。
でも種類という境界線は、本当は存在していないはずだ。
そんな種類という枠に押し込められた概念が、
こんな形で再現されるのなら、それはそれでありかもしれない。
種類を表す言葉なんてものは、伝達手段や概念構成でしかないのだから。
ありのままの雲を見ることを忘れちゃいけない。

「Polyphonic Jump!」
これはアートというより、技術的な作品だった。
Kinectを使ったシステムで、映像を画面に合成して、動きを感知、反応する。
絵は確かにかわいらしい。そして描き込まれている。
でも、どこかこのシステムがこの絵を殺している気がする。
というのも、現れる動物たちはシステム的にしか扱われていないからだ。
動画のリピート再生。突然現れて消える。目を背けたくなる。
どちらかと言えば、画面端の樹に目が行った。
綺麗で、樹を駆ける動物を見ていると、こっちの方が生きている気がしたから。
生きたプログラム。自分にとっては課題であり理想だ。

「Ten thousand thoughts」
写真を並べて一つの作品に見せる。が、ただ写真を並べるわけじゃない。
その写真はまるで現像する前の色付き透明フィルムのようなもので、
それを後ろから照らすことで見せている。
一つ一つの写真もまた味があるが、それによってできあがった作品は、
どこか宇宙から見た地球のよう見える。
遠くから見ても、それは何かを成していて、
近くで見ても、それは何かを成している。
世界とはこういうものだとも思える。

「Small City」
床も天井も高さが異なる立方体で構成されている。
小さな町と言われれば、確かにそうも見えるが。
立方体が並ぶ様子は、ビルが建ち並ぶ都会を思わせる。
それに対して素材が木であるというのも、ギャップがあると言えばある。
木の匂いも、嗅ぎ成れたいい匂いだった。
もし都会のビルがこんな木で出来ていて、こんな匂いがするものだったら。
素敵かも知れない。
が、奥に進むために乗ると軋むのはちょっと怖いから勘弁。

「TALKING HEADS」
自分の家を彷彿とさせる配線のゴチャゴチャ感。
ギーギーと音をたてるテープ。ガチャガチャと音をたてる機械。
こういう露骨に機械機械した機械を見るのは久々だ。
そして手書きのCONTROLLER文字。
この手作り感満載なところに、どこか子どもらしさを感じてわくわくする。
テープに自分の声を録音して、加工して再生できるようだったが。
ノイズまみれで本当にちゃんと再生されているのか分からなかった。
が、それもまたいい。完璧なシステムより、よっぽど楽しい。


今日はここまで。
自分勝手な考えに耽るのは、嫌いじゃない。
が、人の傷付けかねなくて、ちょっと怖い。

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