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ブログ日記のようなものPAGE | 2951 2950 2949 2948 2947 2946 2945 2944 2943 2942 2941 | ADMIN | WRITE 2011.12.02 Fri 23:53:29 理由は不明大きな大きな龍が、小さな小さな池から出てきた。 ジッと水面の奥底からこっちを見ていた龍が、水の音と共に出てきた。 また、こっちをジッと見ている。 意識が持っていかれそうになる。 それでも自我を保って、今と言う状況を理解しようと足掻く。 疑う言葉を自分の中でたくさん紡ぐ。 妄想、空想、欲望、馬鹿げた夢。 そんな言葉をかいくぐって、為体の知れない感覚に呑まれる。 自分と言うのは、小さい小さい存在だ。 ゴミと言われても文句の言いようがない。 と、思えば。何かが心の中で蠢く。 目の前の龍が、非常に抽象的な感覚で、自分の中に存在している。 そこから眉をひそめるような不機嫌さと、残念そうな悲しさを感じる。 と同時に。訴えてくる。 大きな存在とは何なのか。小さいから不要なのか。 どこまでいっても、自分はそんな存在でしかないのか。 だから答える。 大きな存在とは自分ではないものだ。小さいからこそ自分は不要だ。 自分は自分以外の何者にもなれない。 ギッと睨まれた。 まだまだ問われる。 なら、必要な存在とは何か。 今ある社会が求める機能を持った存在だ。そう答えた。 目を細められる。 お前は人間であり、社会の中に存在している。 社会が求めなければ、お前は必要がない。そういうことなのか。 ゆっくりうなずいた。 龍は目を閉じた。 自分の中で、何かがゆっくり渦を巻いている。 いや、渦を巻かれている、のかもしれない。 なんだか落ち着かない。その先で、感じる。 自分は人間でありたいとも、社会に存在していたいとも思っていない。 不要と言われればそれはそれでいいのだ、と。 自分を完全に捨てている解釈。それが確かに渦の中にある。 でも、一方で。 変わりたい、どうにかしたい、こうありたい、 という願望が、渦の中に混じっている。 そしてその願望が、大きく渦巻いていく。 全く不要な感覚、自己中心的な感覚が、自分の中に居座ろうとしている。 龍が薄めを開ける。が、それどころじゃない。 自分の中で大きくなった渦が、どうにもこうにもできなくて。 膝をついたまま立つこともできない。 どんどん酷くなる。 龍に、変化を急かされているような気さえする。 呼吸が不規則になる。意識がどこかへ飛んでいきそうになる。 自分自身を抱くようにして、自我を保つ。 オレは変わりたいわけじゃない。このまま終わればいい。 そう言い聞かせながら。 気が付けば目の前に龍の顔がある。 大きな鼻息が体全体で感じ取れる。 自分が何かに染まっていく。 ガタガタと震える。泣きそうになる。 呼吸が自分のものでなくなっていく気さえする。 グッと目を閉じて、朦朧としかけている意識をひたすら引き戻す。 その状態で、ただただ、違う、と言い続ける。 それでも大きな渦は止まらない。 気が付くと、体が龍に巻かれている。 自分で自分をグッと抱いていて、その延長線のように巻かれている。 と。 巻かれた分だけ力が抜けていく。自分の体が委ねられていく。 僅かに保っていた自我が崩れていく。 ただ、自分の鼓動を感じる。自分が何かに染まっていく。 全身を包むように巻かれて、酔ったような感覚になっていく。 そのまま、心の中に深く手を突っ込まれるような、そんな感覚がする。 自分の落ち着いた呼吸を感じる。力が入らない。 そんな状態で、改めて問いが聞こえてくる。 どうありたいか、と。 言葉にすらなりきれない感情が垂れ流しになる。 が、それを丁寧にすくわれていく。 ぼぅっ、と心の中に何かがともったような、暖かさを感じた。 このままではいけない。また過ちがやってくる。 何とか自我を引き戻して、足掻く。 グッと力んで、抵抗する。グラグラする。 でもそれでいい。ひたすら抵抗する。 が、それも束の間。 クン、と体を揺らされると、 振り落とされるかのように、また自我が遠退いていく。 頭の中が白濁とする。 まるで心だけがあるような感覚。 不意に、龍が胸の奥に顔を突っ込んできて、その心を噛んだ。 グググ、とめり込むような、感覚。 ドクドクと何かが溢れ出てくる。なかなか離してくれない。 やっと離してくれたと思ったら、今度は心がムズムズして仕方がない。 龍はそんな様子をただ見ている。 不意に巻かれていた体を解放される。 いつの間にか宙に浮いていた足も、地に着いて立っている。 が、自分の意志で立っている気がしない。 よく分からない気持ちが自分を支配している。 ふらふらとよろけながら、立つ。 龍に見つめられると、促されるように顔を上げる。 そのまま前に進んでいって、何故か龍にキスをした。 途端、後ろにゆっくり自分がこける。 足が地面から自ずと離れ、体が浮かぶ。 そこからは、まるですべてが溶け出すようだった。 自分も、龍も、心も、何もかもが溶けてなくなっていった。 PR TrackbacksTRACKBACK URL : CommentsComment Form |