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空を駆ける龍の如く




「年賀状を描け」と言われてから頭の中にあったイメージを吐き出した。
それらしい格好をした男性と龍。
まだ線は雑だし色は塗れてないけど。
珍しく、ほぼイメージそのままの絵を描けたと思う。
人が龍を従えているでもなく、龍が人を従えているでもない。
上下関係のない、ただ同じ思いの下、共存する存在。
人の平和を願うでもなく。ただ破壊を望むでもない。
忘れ去られた何かを背負い、振りまきながら空を駆ける。
そんなイメージ。

龍と言えば、どうしてだか思い入れがある。
自分のハンドルネームを空竜にしてるからとか、
その元となった自分のオリキャラの擬人化版の苗字が
空竜(こうりゅう)だからとか、まあそのあたりもあるけど。
そんなレベルではないほど、どうしてだか深く思うところがある。
というのも。
小学生の頃、意味不明な絵本を2冊描いてしまうほど、
龍の絵を頻繁に描いていたからだ。

カッコいいから、なんてものじゃなかった。
現に描いていた絵は決してカッコいい龍ではなかったし、
かといってカッコよさを追求するでもなく、偉大さもなかった。
どちらかというと、龍の巣(家)や龍の親子といった、
もっと親近感のあるような表現をしていた。
どこか、そばにいて欲しい、遊んで欲しい、みたいな気持ちがあった。
理由は分からない。どこで龍の情報を得たのかも分からない。
気が付いたときにはすでに、龍に対してそんなイメージを抱いていた。

今でも龍をイメージすると、多少カッコよさや偉大さといった
イメージが付きまといはするものの、
根底にあるイメージは払拭できていない。
というか、まるで自分と深い深い関わりがあるような、
家族なんて生温い表現では済まされないほどの親近感がある。
当然、そんなことはありえない。架空の動物なのだから当然だ。
それは分かってる。分かってるけども。何かがおかしい。
イメージすると高確立で見つめられ、目を通して自分の奥底から
何かが引きずり出されるような、そんな気さえする。

よく分からない。

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