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事実と理想


見上げる。
遠い遠い世界。
そこにあるのは、自分とは程遠いもの。
だから、と。
目を瞑る。

誰かが微笑む。
そっと手を伸ばし。
オレを連れて行く。

もういい。
オレは違う。
あれこれ否定の言葉を並べる。
でもその誰かは。
『オレ』を超えて、手を伸ばしてくる。
「そこに境界線はないんだよ」
とでも言うかのように。

悲しい。
そんな感情に呑まれる。
オレは。
そんなことを望みたくないのに。

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価値あるものを


オレは「誰かの役に立ちたい」なんて
高等なことを思ったことはない。
ただ。
誰かが困っていて。壁があって。
オレみたいなクソにでもできることがあって。
ゴミみたいなものをその人に渡して。
それでその壁を越えられるのなら。
それは良いことだ、とは思う。

「こういうものを創ってくれ」
そう言われて創る。
出来上がったものが、誰かの助けになっていく。
「助かった」「役に立った」「ありがとう」
ただ一つの作品ではなく、道具として。
そう。道具として。

誰かにお礼を言われたとき。
オレが創ったもので誰かが壁を越えられたとき。
オレは少なからず価値あるものを創れた、のかもしれない。
でも。それは結果でしかない。
オレがやったことは、おせっかい以外の何もない。
結果、そうなっただけ。
そして何より。
出来上がった『何か』は。
人に使われるためだけに創られた。
道具(ツール)だ。

オレはどこか、自分で創っているものに、
価値を与えようと必死になっているのかもしれない。
「無価値にしたくない」と、どこかで願っているのかもしれない。
いや。少し違う。
『ただの道具』にしたくない、のかもしれない。
よく、わからない。

創っていて思う。
指示内容に従うだけなら、時間をかける必要なんてないのに。
何が気に入らないんだろう。
何故「もっとこうしたい、もっとこうするべき」と、
貪欲にいろんなものを詰め込んでしまうのだろう。
そもそも指示に従う必要すらないのに。
何故従うのだろう。
褒められたいから?違う。
役に立ちたいから?違う。
喜んで欲しいから?違う。
どうしてだろう。

改善できるはずのことが、改善されないことに納得できないから。
届くはずの場所に、届かないことに納得できないから。
かもしれない。
そう考えると、オレはどうしようもなく貪欲だ。
そして貪欲さが何かを生んでしまっている。
かもしれない。

・・・あぁ。
違う。
分かった。
オレは。
「できないこと」を知りたいんだ。
「できないこと」を証明したいんだ。
オレが無価値であることを、証明したいから。
本気になって、価値あるものを、創ろうとしてるんだ。
自分が思う『価値』を形にして。
全否定されようとしてるんだ。
そして。
自分の無価値さを証明して。
すっきり死にたいんだ。

結果。
自分で自分の首を絞めてる。
いや、逆か。
自分で自分の首を緩めてる。
価値が。生まれてしまっている。
違う。
違うんだ。
喜ばないでくれ。
「無駄」と言ってくれ。
オレが求めている言葉は、それなんだ。

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狂った自分


はぁ。
どうしてこうも。
馬鹿なんだろう。
出るのはため息ばかり。

いろいろと。
狂ってる。
狂いすぎて。
どうしようもない。

早く終わってしまえばいいのに。

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イライラする


自分に対して腹が立つ。
いつものこと。
ため息をついて。
繰り返して。
それだけ。

誰かが言う。
「その優しさを自分にも向けられないのか」と。
決してやさしくはない。
狂っているだけ。
そう。
おかしいだけ。

死ね。
と。
また口にする。
イライラする。
自分なんていなくなってしまえばいいのに。
そればかり繰り返す。

そしてそのうち投げ出す。
腹立ちすぎてどうでもよくなって。
咽び泣くだけ。
それだけ。

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整理

どうしてこうも馬鹿なんだろう。
どうしてこうもクソなんだろう。
死ねばいいのに。
死ねばいいのに。

そんな言葉を何回言葉にしただろう。
何度自分に腹を立てただろう。
そんなに繰り返してきたというのに、
何一つ変わろうとしない自分は一体なんなんだろう。
・・・そりゃあ、死にたがりなだけだ。
そりゃあもう単純に、死にたいだけだ。
そこから変わりたいと望んでいないから。
ずっとずっとそのままなわけで。

死ねばいい。本当にそれだけだ。
じゃあ何故死んでないのか。
そこに対してオレは言い訳をするんだろう。
誰々が、こういうから。
何々が、こうだから。
そうやって、何かのせいにするんだろう。

でも。
それは自分にとって事実だ。
オレが死にたいのは、誰かのためであり、何かのためであり。
オレが死ぬことに意味も価値もないのなら、
オレは死のうとしないんだろう。
考えもなく自発的に『死にたい』と感じる、その瞬間は、
どうしようもなく自分勝手な感情であって、
本当に願っていることとはズレているんだろう。

誰かの邪魔をしてしまったから。
何かの存在を壊してしまったから。
誰かの価値観を否定してしまったから。
何かの可能性を奪ってしまったから。
どれもこれも。
自分にとってとんでもなく悲しいことで。
すべてにありのままであってほしいと願うばかりで。
それを乱す自分は、本当に死ねばいい。
ただただ、それだけで。
そう。それだけでしかなくて。


常々そう感じながらも。加えて最近思う。
人の欲に触れてしまうことは、怖いことだ、ということ。
誰かが何かを求めている。
それを供給する自分が存在してしまうと、
誰かから見て自分は求められる対象になりかねない。
意図して求められようとしていないのなら。
それはそれでいいのかもしれない。
でも。気が付けば。
自分が求められようとしてしまう瞬間がある。
もっと喜んでもらいたい、とかなんだか。
実際はそんな綺麗なものではないのだけど。
そういう泥沼に足を突っ込みかけてしまう自分がいたりする。

改めて。
世の中は『欲』で回っているんだろうな、と思う。
価値も。意味も。最初に存在しているのは『欲』で。
誰かが求めるから、そこに何かが生まれる。
誰も求めないから、どこかで何かが消えていく。
他人だけの話に留まらない。
自分に対して自分が何も求めないとき。
それこそ自分を無価値無意味にしていて。
オレはそう自覚しているつもりだけども。
それを直そうとしていないわけで。
じゃあ誰がオレに価値や意味を与えているのか、と言えば。
もちろん『誰か』であって。
『誰か』がオレのどこかにある『得体の知れない何か』を
求めていると感じてしまっているから、
オレはオレの判断では死ねないんだろう。

どうしてこんなことになったのか。
求められる前から死んでいればよかったのに。
求められたから生まれてしまったのか。
そう思うと。
悔しくなる。
なんでよりによってオレだったのか、と。
ただただ悔しくなる。

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