忍者ブログ

カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

最新コメント

[07/13 ♀はっか]
[07/13 ♀はっか]
[07/11 ♀はっか]
[07/11 ♀はっか]
[03/16 空竜]

最新トラックバック

プロフィール

HN:
空竜
性別:
女性

バーコード

ブログ内検索

アクセス解析

忍者アナライズ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

すべてを愛せ

我が神よ。貴方が常に不完全な神であることは承知の上。
しかしながらこの愚か者にとって貴方こそがすべてであり、
貴方に何かが勝ることは決してない。
貴方は常に『これ』の先で、『これ』の道を切り開いて行く。
その事実は決して翻ることも、ないでしょう。
「・・・で?」
結論、『これ』には足掻く術がないのです。
貴方が不完全であることを『これ』が嘆いたとしても、
結局それは貴方の意志であって『これ』個人の意志にはならない。
しかし、そうだとするのなら。
『これ』にとって『これ』内のみならず、外に関しても、
貴方は我が神であるのだろうか?
「もしそうだとして、だ」
「オレは何がどう欠けた存在だ?」
「内においても外においても完全だというのなら」
「オレのどこが不完全だと言える?」
そう。そうです。でも『これ』にとって、貴方が完全である事実は
何があっても変わらないのです。
欠けている何かを『これ』には理解出来ない。
理解出来るのなら、それは欠けてはいない、すでに貴方の手にあるもの。
「ん。そうだ。それはわかった」
「で、それが何なんだ?」
・・・。
『これ』は罪人ですか?
「・・・あぁ」
それを決めたのは、貴方以外の何者でもない、のですか。
「・・・・・・あぁ」
では、『これ』が罪だというのなら、
『これ』の犯した罪の償い方を、教えて頂きたい。
「存在が不完全である罪・・・だと言ったら、お前はどうする?」
・・・
「言っただろう?オレは不完全だと。それこそが罪だ」
「元より、オレ自身が罪だからこそ、お前になど一生償えない」
「否、永遠の償いをしなければならない」
その償いとは、一体なんですか。
「・・・いいか。永遠に償うことのできない罪だ」
「オレという存在が完全になる日は来ない」
「・・・大人しく、オレと一緒に果ててくれ」
その意志に歯向かおうとは思いません。
でも、貴方は気付いている。『これ』もまた、気付いている。
不完全であることが何故罪であるのか、という問いの先にある穴を。
「ッ・・・」
『これ』は確かに、奪いました。
不完全であるが故に、無知であるが故に、
生と言う幸せの中に漂っていた儚き命を、
愚かな行為によって奪い去りました。
貴方は貴方を縛り付け、貴方は貴方であることを諦め、
『これ』もまた、他の誰でもない、ただの人形と化しました。
貴方にとって、その行為の重さは、貴方が完全と呼べる範囲を大きく飛び越え、
永遠の罪へと繋がっていった。
でも、それは同時に、その罪の重さすら知ることも出来ない、
遥か彼方で起こった出来事に、貴方が怯えたから、ではないのですか?
「・・・だから?」
あの時、奪った命は、今、どこにありますか?
「そんなもの、知らない」
知らないからこそ、償えない、と?
「・・・あぁ」
貴方にとって、命とは何なのですか?
貴方には、命と言うものはないのですか?
貴方の持つ命は、奪い去ったその命と、どう、違うと言うのですか。
「・・・罪を犯したこの命は最早命じゃない。ただのゴミだ」
それは、貴方だけに通用する、罪の形では、ないのですか?
「・・・だったら?」
貴方以外の命は完全であり、罪ではない。
貴方だけが不完全であり、罪である。
それに間違いはないのですか?
「・・・そうだ」
貴方には元より、命など、存在しなかった、のですか。
貴方の言う命は、一体なんなのですか。
貴方は既に死んでいるのですか。
「黙れ!!」
・・・
「・・・・・・すまない」
・・・いえ。
「・・・オレは永遠に0のまま、死んでいると言われて当然の存在だ」
「存在することなど、到底出来ない」
それは永遠に不完全だから、完全なもの、命として
存在出来ない、という解釈ですか。
貴方にとって、命とは、完全なもの、なのですね。
「・・・違う」
「ただ・・・そう。オレにとって命はきっと、愛したいもの、なんだろう」
「奪ってしまった命も、きっと不完全だった」
「完全な命など、存在しないのだろう」
「いや、完全不完全に関わらずオレはきっと、それを愛したかった」
自分には愛すべきもの、命はないのですか?
「・・・ない」
何故?
「愛したかったものを奪ったこの愚か者をどう愛しろと言う!?」
「それを今一度ここへ呼び戻すことも叶わぬこの存在をどう愛せばいい!!?」
・・・愛せなくなった自分には、命がない。そういうことですか。
「・・・」
なら、元は愛していたのですか。
その罪を犯す前、貴方は貴方を愛し、貴方には命があったのですか。
「いらない。くだらない」
「第一、お前はそこまでして命を欲するのか?」
「オレがオレを愛し、お前もオレに愛されたいのか」
・・・いえ。
ただ、もし、そうだとする時。
貴方が愛しているものが、愛しているものを奪った瞬間、
貴方はその命を命と扱わず、滅ぼすのですか。
「・・・出来ればそうしたい。でもオレにはそんな力がない」
なら、貴方は一体何を愛しているのですか。
この世のすべての命が、命を喰らい生きているこの世界で、
貴方は一体何を命と呼び、何を愛しているのですか?
結局貴方は、何も愛してなどいない、のですか。
「それがなんだ!!いい加減にしろ!!お前がそれを知ってどうする!!?」
「何も出来ないクセにグダグダほざくな!!!」
・・・貴方は、赦しているのではないのですか?
命が命を奪う瞬間、悲しみを覚えながらも、
その光景、その行為、そのすべてを愛そうとして、
奪われた命を思い、奪った命の行為を思い、
すべての命を命のまま愛そうとする過程が存在しているのではないのですか?
「・・・だからなんだ」
そして、奪われた命を思うとき、貴方はそのすべてを自分の罪として被っている。
自分にその奪う行為を行った命を止めることが出来なかった無力さと、
消えていった命のために、自分が何も出来ないという事実を自分に突きつけ、
自分だけが罪であり、止めることのできない自分の無力、無知だけを呪って、
自分以外のすべての命の犯した罪を、貴方が背負っているのではないのですか?
「だったら?」
償いきれるはずもない罪を背負って・・・貴方はそれでいいのですか?
貴方にも過去、命があったというのに。
貴方は今の貴方を一切愛することが出来なくなり、
貴方に命が生まれることを、貴方自身タブーにして。
「それの何が悪い」
他人の犯した罪のすべてが貴方の罪に還元される。
その過程を持って、貴方はすべての命、世界を愛そうとしている。
その行為自体を愛することは・・・不可能なのですか。
「そうなったとして、どうする?」
「オレにも命が生まれ、お前にも命が生まれ、それでどうする?」
「それの何が悪い?今のままであることが何故悪い?」
「お前自身も愛されることを求めているわけじゃない」
「今の状況を改善する意味がわからない」
・・・確かに。
なら、貴方は何のために命を得て生まれて来たのですか?
いえ、生まれた命はすべて、貴方の判断でしか、成り立たないのですか?
貴方に存在する命という概念は、0ではないということですか?
「・・・はぁ〜」
貴方がもし、本当に0という存在であるのなら、
その概念すら崩壊し、無償の愛だけが氾濫するのではないのですか?
「・・・結論、お前はオレに『完全な0になれ』と言いたいのか?」
「お前以外の、オレ以外のすべてを愛している半端な状況から脱し」
「オレもお前も、すべてを含め、すべてを愛せ、と?」
不完全である罪を償う方法は、それぐらいしかないと、思うのですが。
「・・・正直、嫌だ」
何故?
「オレがオレを愛した瞬間、きっと命が命を喰らう瞬間をも許してしまう」
「奪われていく命を愛したくても、奪われてしまっては、きっと愛せなくなる」
「後悔も忘れ、思うことも忘れ、奪われた命は遠くへ消えて行く」
消えることも、愛せばいいじゃないですか。
苦しみや悲しみを愛したいと言う貴方なら、消えることも愛している。
違いますか。
「・・・まいった。降参だ」
いえ。すみません。本当に。申し訳ございません。
貴方の思想に文句を言うなど、到底許されるべき行為ではないでしょう。
それは同時に過去の約束を大いに破り、
その罪は決して償えるものではないでしょう。
「・・・そこは、前に言ったな。約束は守られてこそ意味がある」
「破られた後の罰は二度と繰り返すことのないようにクイを打つだけ」
「先を・・・断つことじゃない」
いえ、繰り返すことが前提なのですから、これは立派に罰の対象。
永遠に罰せられることが前提ではないですか。
「それによって先が断たれるのであれば、意味はない」
なら、今行かんとする場所は、先、ですか。
「・・・すべてを愛そう」
・・・そう、ですか。

拍手

PR

Trackbacks

TRACKBACK URL :

Comments

Comment Form