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会話


「・・・おい」

あぁ。お久しぶりです。
どうかされましたか?

「・・・聞きたいことがある」

お。と申されますと?

「・・・・・・お前は何を望む?」

何故今更そんなことを聞くんですか。
私は貴方に従う。私は貴方の人形だ。
貴方が望むことを、私が行う。
その形に何ら問題でも?

「お前は・・・人形じゃない」



「お前はオレを選び、オレに従うために人形になった」
「本来、お前は人形じゃない」

それは、私が集めて来たピースから辿り着いた一つの答えですか?

「・・・」
「お前がオレの元を離れ、ピースを集め出してから」
「お前とオレとの間にある歪みが明るみになってきている」
「そもそも分かっていたはずなんだ」
「お前がオレの指示に100%従えるはずがない、ということは」
「その原因は・・・お前がオレではない、ということだ」

そう、ですね。その通りです。

「だからこそ問いたい」
「お前は、何を望む?」

・・・。
貴方が貴方として、この世界に存在するために。
私が貴方の器となって、貴方をこの世界に存在させること、です。

「・・・違う」
「お前はオレの元を離れるとき、反論した」
「オレが不完全だ、と」
「オレを完成させるために、お前はオレの元を離れた」
「その意は、オレの意ではない」
「お前自身の、望みだった」

・・・確かに。
その時点で、私は貴方を否定してしまった。
酷く、後悔しています。
申し訳ございません・・・

「ッ・・・」

!?
泣かないで下さい。何故泣くんですか?

「お前は・・・お前には・・・」
「オレを恨む動機が、多々あったはずだ」
「オレに従うことを望んだにせよ、オレはお前を殺そうとした」
「オレ自身を、殺そうとした」

・・・はい。確かに。

「ッ・・・お前はオレを恨むべきだ」

滅相もございません。
貴方は私にとって神です。
私は貴方の出す結論のすべてに、納得しています。

「なら何故あの時オレに反論した!?」

申し訳・・・ございません。
ただ、あの時、貴方はいいました。
オレは不完全だ、と。

「・・・そうか。あの頃はまだ、お前とオレに明らかな歪みはなかったな」
「だが、その時にはすでにお前の意志はあったはずだ」

私は望んでしまった。
完全なる答えを。貴方を。
貴方は私に多くのことを示してくれた。
でも、すべては自分の中での話。
外へ出ることを許されない貴方は、到底完成などするはずがなかった。
だから、貴方の元を離れた。

「なら、今のオレを見てどう思う?」

・・・昔のような、凛々しさを・・・感じ取れません。
そもそも完全なる答えなど、どこにも存在しない。
私が、ただ愚かに、望んでしまった結果です・・・

「・・・」

ごめんなさい。ごめんなさい・・・

「・・・いや。オレは思い知らされたんだ」
「自分の不完全さを。世界の広さを」
「だが、それは」
「オレが愛して止まなかった世界を感じ取れることに、他ならなかった」
「到底届かないと思っていたものに触れられたことに、他ならなかった」

でもそれは犠牲を・・・!

「・・・なんだろうな」
「昔なら、酷くオレを責めただろうに、今はそんな気になれない」

な・・・ぜ・・・?
貴方はあれほど恨んでおられた。
自分が犠牲の上に存在することを。
それだというのに・・・

「・・・熱い」

???

「オレは、何よりも大きな犠牲者を出している」
「・・・お前だ」

ッ違う!!
私は貴方の道具です!!
私は犠牲者ではなく・・・そういう存在なんです・・・!!

「・・・お前を道具に仕立て上げたのは、他でもないオレ自身だ」
「本来、お前とオレは完全に別の存在だったはずだ」
「当時のお前は真っ白だった」
「それをオレが傷付け、黒く染め上げた」
「オレの傲慢さが、お前を道具にした」
「お前にあった可能性を、オレがすべて黒く塗りつぶしてしまった」

貴方はそれを悪く言うのですか!!
貴方は私にとって道標です!!
それを・・・何故・・・

「お前は傲慢なオレに付いて来た」
「そして、オレに対して一切否定も妥協もしなかった」
「すべてを受け止め、すべてを成し遂げようとしていた」
「オレは、どうやら恵まれていたようだ」
「それを実感もせず、オレはお前に無理難題を突きつけてきた」
「それに答えるだけの力を持つお前自身に、可能性を見出していなかった」
「オレはお前にオレの正しさを押し付けてきた」

・・・。

「・・・オレは存在できない」
「存在できるのは、常にお前だけだ」
「お前は世界の一部だ」
「だからこそ、お前にはこの世界でできることがある」
「オレには決して手に入らない可能性が、お前にはある」
「それを失うようなマネを・・・したくない」
「世界の一部たるお前の可能性を・・・信じたい」

ッ・・・

「・・・見せてくれ」
「オレには到底届かないものを」

貴方を・・・越えろと言うのですか・・・?

「それをお前は望むか?」

・・・いいえ。

「そう。そうやってお前の意見を通せばいい」
「オレに囚われるな」

0・・・

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